経理の繁忙期はいつ?|忙しい理由と業務内容・残業を削減する方法も解説

経理
経理の繁忙期はいつ?|忙しい理由と業務内容・残業を削減する方法も解説

経理は繁忙期と閑散期の業務量の差が大きな部署の一つです。

特に月末・月初や決算期には、業務量と担当者の負担が大幅に増えることが予想されるため、対策を知りたい方は多いのではないでしょうか。

経理の繁忙期の時期を把握し適切に備えることで、繁忙期の業務を効率化でき、担当者の残業を削減できます。

本記事では経理の繁忙期が忙しくなる理由と課題、繁忙期の乗り切り方や閑散期に実施すべきことを解説します。経理業務を効率化する方法も紹介するので、繁忙期をスムーズに乗り切りたい方はぜひチェックしてみてください。

この記事でわかること

  • 経理の繁忙期に起こる問題と乗り切るポイント
  • 経理の繁忙期以外でやるべきことと業務効率化の方法
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目次

経理の繁忙期はいつ?

経理の繁忙期はいつ?

経理の繁忙期には月次と年次があり、それぞれ以下の時期を指します。

  • 月次の繁忙期は「月末と月初」
  • 年次の繁忙期は「3月〜6月」「12月〜1月」
  • 閑散期は「8月・11月・2月」の月末・月初以外

月次の繁忙期は「月末と月初」

毎月月末から月初にかけてが経理の繁忙期にあたり、特に月初は業務が集中します。

月初が忙しくなる理由は、月末締切の以下の処理を月初に行うためです。

  • 取引先への請求書発行:前月締めた分の請求書発行
  • 伝票の作成と仕訳
  • 取引先への入金
  • 月次決算処理
  • 給与支払
  • 源泉所得税・社会保険・税金の納付
  • 入金確認

企業間取引では、支払条件が月末締め、翌月末払などになっていることが多く、月末に支払処理を行う必要があります。

また、月末は他部署の従業員から経費処理をまとめて依頼されるケースが多いことも、業務が月末・月初に偏る原因の一つです。

特に「月次決算業務」を行う企業では、締め日から10日ほどで処理が必要となるため、月末・月初に業務が集中します。

年次の繁忙期は「3月〜6月」「12月〜1月」

経理は年に1回行われる年次業務が多い部署でもあります。年次の繁忙期は企業により異なりますが、3月決算の企業においては、以下の時期に業務が集中することが一般的です。

  • 決算関連・株主総会(3月~6月)
  • 年末調整関連(12月~1月)

月次業務を含めた一般的な経理の年間業務スケジュールは以下の通りです。

業務内容

1月※繁忙期

  • 月次・四半期決算業務
  • 償却資産税の計算・納付
  • 法定調書の作成
  • 年末調整にかかわる事務

2月

  • 月次決算の処理
  • 予算計画策定

3月※繁忙期

  • 月次決算の処理
  • 予算計画策定
  • 実地棚卸の確認

4月※繁忙期

  • 月次・本決算
  • 株主総会の準備

5月※繁忙期

  • 月次・本決算
  • 株主総会の準備
  • 消費税・法人税等の計算・納付

6月※繁忙期

  • 月次・本決算
  • 株主総会
  • 夏季賞与支給にかかわる作業

7月※繁忙期

  • 月次・四半期決算
  • 社会保険関連の事務作業(定時決定、年度更新等)

8月

  • 月次決算の処理

9月

  • 月次決算の処理

10月※繁忙期

  • 月次・四半期決算

11月※繁忙期

  • 月次決算の処理
  • 法人税等の中間申告・納付

12月※繁忙期

  • 月次決算の処理
  • 冬季賞与支給
  • 年末調整にかかわる事務

年次業務のある月には決算など負担の大きな作業のほかに、日時・月次の作業も同時進行で進めなければなりません。また、決算期や社会保険関係、法人税申告など、締め切りのある業務が多数あることも年次の繁忙期の特徴です。

中間決算のある企業では9月・10月が上半期の決算時期となり、その月も多忙になります。

閑散期は「8月・11月・2月」の月末・月初以外

企業の決算時期にもよりますが、比較的経理の業務が落ち着く閑散期は、繁忙期の翌月「8月・11月・2月」の月末・月初以外です。

業務の落ち着いた閑散期には主に以下の業務が行われます。

  • 繁忙月の前月:繁忙月の準備
  • 本決算の翌々月:本決算の後処理

経理は繁忙期が多忙になりがちな半面、閑散期には業務が比較的落ち着き、残業もほとんどありません。閑散期の間に従業員が勤務時間調整や休暇の申請、繁忙期との業務時間調整を行える場合も多いです。

経理の繁忙期に行われる業務内容

経理の繁忙期に行われる業務内容

経理の繁忙期に行われる業務は以下の通りです。

  • 決算処理
  • 実地棚卸
  • 給与関連業務
  • 賞与支払
  • 税務関連業務
  • 年末調整
  • 株主総会の準備

決算処理

決算処理は経理の業務の中でも特に複雑で負担の重い業務の一つです。

決算処理は経営状態の把握や納税、ステークホルダーへの業績報告・情報提供のために行われる業務です。決算は以下の流れで行われます。

  1. 当期分の記帳の確定を行う
  2. 実地棚卸・残高の確認を行う
  3. 決算整理仕訳を行う
  4. 決算書を作成する
  5. 株主総会で承認を得る
  6. 法人税などの申告書を提出する

決算処理は決算月の前後にも多くの業務が発生します。法人税の申告・納税の期限は決算日から2カ月以内であるため、期限までに処理が必要です。

実地棚卸

決算関連業務の一環として、期末には売上原価を計算するための「実地棚卸」が行われます。

実地棚卸とは、帳簿の記録と在庫数量が一致しているか確認するために、商品の在庫を点検し、数量や保管状態を確認することです。決算期には、実地棚卸と帳簿棚卸の両方を行い、それぞれの結果を付け合わせて在庫数量を確定させます。

企業が所有する在庫を数える作業は多大な手間がかかりますが、帳簿への記入漏れや重複記帳、紛失などによって在庫差異が生じていないか、確認しなければなりません。

給与関連業務

給与支払業務は総務部門や人事が行う企業もありますが、経理が行う場合もあります。

給与関連業務には給与の計算や支払いだけでなく、従業員の住民税や源泉所得税、健康保険料・厚生年金保険料の納付の業務があります。

  1. 契約上の基本給に、各種手当や時間外労働手当を加算して総支給額を算出
  2. 税金・保険料を控除して計算
  3. 手取り額で賃金台帳や給与明細を作成
  4. 従業員への振り込み手続きを行う
  5. 差し引いた税金と保険料を納付

給与関連業務を会計ソフトで自動化するケースが多いものの、従業員ごとに控除や手当は異なるため、最終的には人の目によるチェックが不可欠です。

賞与支払

賞与支払業務も経理が行う場合があります。

経理が行う賞与関連の処理には、賞与の支払い前と後の両方があり、給与計算とは異なる以下のような煩雑な計算が必要です。

  1. 契約や就業規則にもとづき支給額を計算
  2. 社会保険料などの控除額を差し引いて手取り額を算出
  3. 被保険者賞与支払届を提出

「被保険者賞与支払届」は、賞与支給から5日以内に管轄の年金事務所に提出する書類です。従業員の健康保険・厚生年金保険は賞与からも納付するため、この書類が必要となります。

賞与計算も従業員の将来の年金額の計算ベースになるため、正確に処理されなければなりません。

税務関連業務

経理は企業の税務も担当しています。以下の税金の申告は決算日から2カ月以内に行わなければなりません。

  • 消費税
  • 法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税

税額計算および決算書と税務申告書の作成を行う際、一度作成した決算書の項目の調整を行い、課税所得を算出する処理を行います。財務会計上では「費用」に計上できる項目でも、税務では一部の費用を損金扱いできない場合があるなど、財務会計とは異なる煩雑な処理が必要です。

また、経理は企業の税務に加えて、従業員の労災保険・雇用保険の処理も行わなければならず、繁忙期がより忙しくなります。

年末調整

年末調整業務も経理の繁忙期に行われる業務の一つです。

年末調整とは、従業員の給与から源泉徴収した所得税と、正しい所得税の過不足を調整する業務で、以下の流れで行います。

  1. 生命保険料控除証明書など各種税控除に必要な書類を集める
  2. 年間の給与総額と控除書類から所得税を計算する
  3. 源泉徴収票・給与支払報告書・法定調書合計表などを作成、関連機関に提出する

年末調整では従業員からの控除証明書の回収が滞り、税額計算などの処理業務が遅れてしまうことも少なくありません。従業員への支払い調整は1円の狂いも許されないため、年末調整は経理の中でも特に重要な業務の一つです。

株主総会の準備

企業は事業年度の終了後、3カ月以内に株主総会を行います。3月決算の企業は6月に行われるケースがほとんどです。

株主総会とは、株主が集まり会社の重要な事項を決定するための会議のことで、株主が直接会社の経営に参加できる唯一の機会とされています。株主が企業の経営状態を把握できるよう、株主総会の前には経理が報告書や計算書類を送付しなければなりません。

また、総会当日に行われる投資家との質疑応答に備え、企業が株主の質問に適切に回答するために、想定問答集を用意する役割の一端を経理が担います。

5月末までには株主総会の準備を済ませなければならないため、確定申告の準備と重なるこの時期は、経理がもっとも忙しい時期といえるでしょう。

経理の繁忙期が忙しくなる理由

経理の繁忙期が忙しくなる理由

繁忙期に経理が忙しくなる理由は以下の通りです。

  • 月次・年次業務と日次業務の重複
  • 経営管理や資金繰り調整の必要性
  • 厳格な締め切り
  • 経理部門の人員不足
  • 経理部門の業務範囲の広さ
  • 担当者のスキル不足

月次・年次業務と日次業務の重複

特定の時期に業務が集中することが経理の特徴の一つです。

経理には毎日の日次業務があり、さらに月次や年次の業務が重複して発生します。加えて、各業務には厳守すべき締め切りが設定されているため、担当者は多忙を極めることが少なくありません。

また、他部署の従業員から書類を回収しないと始まらない業務も多く、期日までに集まらないと、処理が遅延してしまうという課題も抱えています。年次業務に備えて月次業務を自由にコントロールできず、業務の集中を回避できない点は、経理業務特有の課題といえるでしょう。

経営管理や資金繰り調整の必要性

企業の存続にかかわる経営管理や資金繰り調整なども、経理の持つ重要な役割です。

経営管理においては、経営上の問題点やリスクを早期に発見するために、継続的な企業業績の監視を行い、必要に応じて対策を立案・実行する役割を経理が担います。

また、出入金のサイクルやタイミングを把握し、資金繰りの計画を立て、必要に応じて資金調達を行う資金繰り調整を行うこともあります。

特に年末や月末に資金繰りが厳しくなった際には、資金繰り調整を行い業務の停滞を防がなければなりません。経理業務は年末・月末の業務が多いうえに、資金繰り調整が加わると、担当者はさらに多忙になってしまいます。

厳格な締め切り

守るべき締め切りが多いことも経理が多忙な原因の一つです。

経理には以下のように多くの締め切りや締日があります。

  • 帳簿の締め切り
  • 請求書の締め日
  • 経費精算の期限
  • 決算申告の期日

先述のように、決算申告は事業年度の翌日から2カ月以内に行わなければなりません。その他、法人税の中間申告・納付、社会保険料の定時決定・年度更新など、締め切りの前月には多くの作業が必要です

例えば、締め切り前に取引先からの入金が誤っていたなど、イレギュラーな対応が重なれば、経理部門の負担は一層大きくなります。

経理部門の人員不足

経理部門の人手不足も繁忙期が忙しくなる主要な原因の一つです。

経理部門にはルーティンワークも多いことから、やりがいを感じられず退職する従業員もいます。しかし経理の業務には高い専門性が求められるため、一度人手不足になると適切な人材を見つけることが容易ではありません

経理担当者は税法や会計基準の改正のたびに知識をアップデートしたり、経験を積んで年一回の年次業務を覚える必要があります。そのため、経理の即戦力人材はなかなか見つからないのです。

中小・ベンチャー企業など、もともと経理担当が少ない企業の場合、担当者の業務負担はさらに大きくなるでしょう。

経理部門の業務範囲の広さ

経理の業務範囲が広い企業においては、担当者の業務負担が重くなりがちです。

企業により範囲は異なりますが、経理は一般に以下の業務を複数にまたがり担当します。

  • 決算処理
  • 税務申告
  • 財務戦略
  • 予算管理
  • 経理システム管理
  • 給与計算
  • 資金管理

企業規模によっては、管理部門として経理と一緒に総務や人事の業務を担うケースもあります。また、ベンチャーやスタートアップ企業の場合は、資金調達関係や管理会計の構築、ステークホルダーとの関係構築など、経営寄りの業務を担うケースも少なくありません。

担当する業務が多いほど、期日や締め日が重なる可能性が高く業務が集中しやすいといえます。

担当者のスキル不足

経理の繁忙期が忙しくなる原因の一つに、担当者のスキル不足が挙げられます。

経理担当者には正確な処理や的確な情報伝達が求められるため、以下のような多岐にわたる知識とスキルが必要です。

  • 簿記の知識
  • 税法・会社法などの法律知識
  • PC・ITスキル
  • 情報処理能力
  • 知識をアップデートする学習意欲
  • コミュニケーション能力

経理担当者に十分な知識がなければ、税務・会計上の処理を誤ったり、数字が合わず何度も確認や差戻が生じるなど、仕事量が増えることにもなりかねません。

担当者にいずれかのスキルが不足している場合、繁忙期の業務スピードに付いていくことが困難です。

経理の繁忙期に起こりがちな問題

経理の繁忙期に起こりがちな問題

経理の繁忙期に起こりがちな問題は以下の通りです。

  • 作業量の激増
  • 残業の増加
  • 人為的ミスの増加
  • リソース不足

作業量の激増

経理業務は繁閑差が激しく、閑散期にはほとんど残業せずに済む一方で、繁忙期には連日残業しても追い付かないくらい作業量が激増することが特徴です。

先述のように、経理は日次業務と月次・年次業務が重なったタイミングで、業務量が大幅に増加します。

繁忙期と閑散期で業務を平準化できれば問題ないのですが、経理には金額が確定するまで着手できない業務が多いため、業務の前倒しが困難です。例えば、給与が確定するまで年度更新や算定基礎の計算ができなかったり、締日を過ぎないと決算書の作成も難しいでしょう。

経理においては、毎月・毎年同じ時期に作業量が増加することは避けられないので、業務平準化以外の方法で対策が必要です。

残業の増加

繁忙期は業務量が大幅に増えることから、就業時間内に作業が終わらず残業になるケースも少なくありません。特に月次の請求・支払い業務が集中する月末・月初は、担当者が残業続きになりがちです。

また、経理の業務は専門性が高く、少人数で担当するケースが多いため、業務が属人化しやすい傾向にあります。業務を遂行できる人材が限られると、特定の担当者だけに業務負担が集中し、残業が増えてしまう可能性が高いです。

専門性が高い業務は他者と分担・共有しづらいため、担当者が1人で抱え込みやすく、多忙になってしまうでしょう。

人為的ミスの増加

閑散期には考えられないような人為的なミスが、繁忙期には起こりやすいです。

残業続きで担当者に肉体的・精神的な疲労が蓄積すれば、集中力が途切れやすく、以下のようなミスの発生率が高まります。

  • 計算ミス・数字の入力ミス
  • 経費や売上の二重計上
  • 在庫の計上漏れ
  • 領収書の紛失・不備

多忙のあまり細部の確認が疎かになったり、本来ダブルチェックが必要な作業に対しても、簡易的な確認のみで済ませてしまうことも考えられます。

さらに、多忙なときは各自が自分の作業に集中してしまい、コミュニケーションが不足しがちです。情報共有が不足すると連携が機能しないだけでなく、ミスの発見が遅れる原因にもなります。

お金を扱う業務が多い経理においては、些細なミスが企業の大きな損失にもつながるため、ミスの予防とチェック体制の構築が必要です。

リソース不足

経理が繁忙期で抱える最も大きな問題は、リソース不足です。

一般的に企業は、間接部門の人材補充を積極的に行わない傾向にあります。また、繁忙期に合わせて人員を採用しているわけでもありません。そのため業務量が増大する繁忙期には人員が不足し、一時的な人員確保が不可欠となります。

しかし、余剰の人材がいたとしても、繁忙期までに戦力へと育成することは簡単ではありません。採用難の昨今、経理の専門スキルを持つ即戦力人材を採用するハードルはさらに高いといえます。

このような状況下では、繁忙期のみ即戦力の人材を活用できる仕組みを検討することが有効です。

経理の繁忙期を乗り切るためのポイント

経理の繁忙期を乗り切るためのポイント

経理の繁忙期をスムーズに乗り切るために、押さえておくべきポイントは以下の通りです。

  • スケジュール管理を徹底する
  • 優先順位を明確にする
  • アウトソーシングを活用する

スケジュール管理を徹底する

経理の繁忙期を乗り切るためには、徹底したスケジュール管理が不可欠です。

まず、1日単位のToDoリストを作成し、実施日、・期日、ステータスの欄を設けます。そして、作成したスケジュール通りに業務を進めてみましょう。

もし一つの作業に時間がかかりすぎたり、処理が遅れた場合、先伸ばしにすると余計にタスクが詰まり、忙しさが増す悪循環に陥ってしまいます。先延ばしにせずどこで巻き返せるかを検討しながら進めていくことが大切です。

遅延を最小限に抑え適切に管理するためには、タスクをなるべく細分化し、一つずつ淡々とクリアしていくことをおすすめします。

また、繁忙期の業務スケジュールは、あらかじめメンバーの共有カレンダーに記載しておくと良いでしょう。各自が着手前に業務フローを確認でき、進捗も共有できるので業務効率が高まります。

優先順位を明確にする

繁忙期は作業がマルチタスクになるため、優先順位を決めて着実に進めることが期限に遅れないためのポイントです。

一つひとつのタスクを「重要」「緊急」の両面から評価すると、優先順位を判断しやすくなります。重要かつ緊急のタスクを最優先し、重要でも緊急でもないタスクは保留しましょう。

重要でも緊急でもない優先度の低い業務は、閑散期に回すことで業務の平準化につながります。また、重要ではないが緊急のタスクについては、第三者に任せることも可能です。

アウトソーシングを活用する

経理の繁忙期をスムーズに乗り切るためには、アウトソーシングを活用しリソースを補充することも一つの方法です。

繁閑の差がある経理業務には、就労体系が固定的なアルバイトや派遣社員よりも、必要な業務に必要な時間だけ依頼できるアウトソーシングが適しています。

また、アウトソーシング会社のアシスタントは専門スキルを持つ即戦力人材が多いため、契約後に教育する必要がなく、すぐに業務に就くことが可能です。

経営管理などのコア業務は社内人材で対応し、以下のノンコア業務から必要な業務のアウトソーシングをおすすめします。

  • 請求書、納品書などの発行
  • 記帳業務
  • 決算書作成・決算申告
  • 給与計算
  • 年末調整 

特に経理担当者の少ない企業では、必要なリソースを外部から得られるメリットは大きいでしょう。

経理の繁忙期以外の時期にやっておくべきこと

経理の繁忙期以外の時期にやっておくべきこと

経理の繁忙期を迎える前に、以下の準備を行い万全な体制を整えておきましょう。

  • 情報を早めに取得できる環境の整備
  • 繁忙期の業務スケジュールの確定
  • 新会計基準など各プロジェクトへの対応
  • 業務の整理と改善
  • システムトラブルへの対策準備

情報を早めに取得できる環境の整備

繁忙期を迎える前に、経理処理に必要な情報を早期に渡してもらえるよう、各部署に協力してもらうことが大切です。

経理には経費申請や控除証明書など、提出物を従業員から受け取ったり、数字が確定するまで進められない業務が少なくありません。なるべく同じ時期に処理が集中しないよう、早めに情報を取得できる段取りを付けておきましょう。

具体的には、以下のような対策が考えられます。

  • 従業員に提出物の予告通知を早めに行う
  • 数字を確定してもらう必要のある担当部署には事前に声掛けをしておく

あわせて、経理部門内で事前に揃えられる過去のデータやファイル、必要な資料の整理などの情報も、早期に揃えておきましょう。

繁忙期の業務スケジュールの確定

閑散期のうちに繁忙期の業務スケジュールを確定しておくことが大切です。

業務スケジュール表を作成すれば、スタッフが業務スケジュールの全体像を把握でき、皆が工程に優先順位を付けやすくなります。

事前に業務のフローを把握できれば、繁忙期の業務円滑化にもつながるでしょう。例えば、業務フロー全体を把握することで、他の工程が終わるのを待たず、スムーズに次の工程に着手できる場合があります。

また、担当者が明確化されるため担当者が不明な業務がなく、業務の抜け漏れを防げる点も、事前にスケジュールを確定するメリットです。

新会計基準など各プロジェクトへの対応

閑散期のうちに、新会計基準の確認など各プロジェクトへの対応を済ませておきましょう。

会計基準や税制は頻繁に改正されます。スムーズに繁忙期の業務に取り掛かれるよう、事前に確認と対応を行い、必要な準備を終わらせておくことがポイントです。

また、適時開示ルールについても事前に確認が必要です。決定事項として公表しなければならない内容は細かく規定されているので、適切に公開できるよう、閑散期のうちに情報を整理しておくことをおすすめします。

決算に必要な情報収集、事業部との事前調整ができているかどうかが、繁忙期の業務負担を抑える決め手になります。

業務の整理と改善

閑散期のうちに、繁忙期に向けた業務の整理と改善を実施します。

例えば繁忙期には手が回らない業務フローの整理や、作業効率を高めるための環境整備は、閑散期に行う必要があります。

業務効率化のネックになっている部分や、実際の所要時間などの課題を洗い出すために業務を可視化し、改善案を策定しましょう。一般にボトルネックは、専門性が高く属人化しやすい業務に見つかる場合が多いです。

さらに、時間のかかる業務があればフォーマットの見直しを行い、業務を簡易化しておくことで、繁忙期の多重業務をスムーズに遂行できます。

システムトラブルへの対策準備

繁忙期を迎える前に、導入済みのITシステムのトラブル対策を整備しておくことも重要です。

会計システムのバグ自体は珍しいことではありません。システムバグは欠陥や事故ではなく「起こって当然」と捉え、発生後の対応方法を明確化し、スタッフ全員に周知しておきましょう。

繁忙期にバグで慌てずに済むよう、閑散期のうちにトラブルシューティングをマニュアル化するとともに、使用者全員にトレーニングを実施しておくことをおすすめします。 

経理業務を効率化する方法

経理業務を効率化する方法

経理の繁忙期を乗り切るには業務の効率化が不可欠です。最後に経理の業務を効率化する方法を5つ解説します。

  • ペーパーレス化を進める
  • 業務自動化ツールを導入する
  • 各部署と連携して経理処理を行う
  • 業務効率化コンサルティングを導入する
  • 担当者の知識とスキルを高める

ペーパーレス化を進める

紙ベースの帳票作成に時間と工数をかけている企業は、請求書発行システムや会計ソフトを導入し、ペーパーレス化を図りましょう。

業務をペーパーレス化するメリットは以下のとおりです。

  • 書類管理の手間の削減と保管の省スペース化
  • 社内の情報共有の容易化
  • リモートワークの可能性の拡大
  • 情報漏洩リスクの低減

経理は請求書や納品書など多くの帳票を扱う部署です。そのためソフトやシステムの導入は、主要業務である会計処理と請求業務の工数削減や、手作業による入力ミスの削減にも効果的です。確認作業もほとんど不要になり、トータルコストの削減にもつながります。

一般的な会計ソフトや請求書発行システムは、ITが苦手な方や専門知識がない方でも操作できる仕様になっているため、初心者でも活用が可能です。1人でも多くの経理スタッフが作業に携われることで、業務の属人化防止にもつながります。

業務自動化ツールを導入する

会計ソフト以外にも自社の業務に適した業務自動化ツールの導入をおすすめします。

例えば、定型業務に過剰な時間や手間をかけている企業は、RPA(Robotic Process Automation)ツールの導入が有効です。PC業務を自動化できるため、手作業で行っていた作業の工数を削減でき、紙書類のデータ化もできます。

経理繁忙期の業務をスピードアップするには、以下のツールの導入も効果的です。

  • タスク管理ツール
  • チャット・コミュニケーションツール
  • Web会議ツール
  • ナレッジ共有ツール

複数のシステムやツールを連携すれば、各部署や経営層との情報共有にも役立ちます。

各部署と連携して経理処理を行う

経理業務を効率化するには、各部署と連携して経理処理を行うことが効果的です。

部門間で情報が連携されていないと、経理処理に必要な情報を他部署で集計・報告してもらわなければならず、情報の整理とやり取りだけで多くの工数がかかってしまいます。その後経理処理を行うため、業務効率が低下せざるを得ません。

まずは各現場で行う帳票作成において、フォーマットを統一するなど経理で利用しやすく調整するだけでも、大幅な効率化につながります。

さらに帳票作成と会計システムを連動できれば、さらに効率を高められます。

業務効率化コンサルティングを導入する

以下に該当する企業は業務効率化コンサルティングを導入し、専門家のアドバイスを得ることも一つの方法です。

  • 効率化したいが業務改善を検討する時間がない企業
  • 自社では課題の洗い出しが困難な企業

業務効率化コンサルティングでは、企業の業務プロセスを改善する改善案の提案と、施策の実行支援を受けられます。

経理を専門とするコンサルタント会社が多数あるほか、ITツールやアウトソーシングを導入する際のサポートとして利用できるサービスもあるので、相談してみると良いでしょう。

相談したい自社の課題を事前に精査し、受けたいサービスを提供してくれるコンサルタント会社を選ぶことをおすすめします。

担当者の知識とスキルを高める

経理業務の効率化には、担当者の知識とスキルの向上も欠かせません。

経理が多忙になる主な原因として、担当者の専門知識の不足が挙げられます。担当者に経理の知識が不足している場合、課題や問題点に気づくまでに時間がかかり、解決が遅れてしまうことも少なくありません。

しかし担当者が知識を習得することで、問題点の発見と解決が早まり、業務の効率化につながります。

また、経理担当者のPCスキルを高めることで、作業効率自体の向上が可能です。VLOOKUP、IF、SUMIF関数などのExcel関数やピボットテーブルを習得するだけでも、作業スピードは大幅にアップすることが期待できます。

経理の繁忙期の時期と対策を知りスムーズに乗り切ろう

経理の繁忙期の時期と対策を知りスムーズに乗り切ろう

経理には月次と年次の2種類の繁忙期があります。繁忙期の業務が日次業務と重なると、業務が煩雑化し、担当者の負担が重くなることが経理業務の課題です。

経理の業務が落ち着いた閑散期に、繁忙期に備えてシステム導入や業務フローの見直し、体制構築などの準備を行うことで、担当者の負担軽減につながります。繁忙期の業務を円滑かつ効率的に進めるためには、外部リソースの活用も検討しましょう。

経理の繁忙期の業務効率化には、Fammアシスタントオンラインのアウトソーシングがおすすめです。

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