決算業務を効率化するためには?業務の流れや効率化のポイントを解説
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決算業務は経理担当者にとって、重要でありながらも負担の大きい業務の一つです。
特に決算月は業務が集中し正確性とスピードが求められるため、多くの企業で課題となっています。
ただし決算業務は、適切な効率化を実現することで負担を軽減し、よりスムーズな決算を行うことが可能です。
本記事では、決算業務の基本的な流れや効率化を実現するための方法を紹介します。
効率的な業務運営を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- 決算業務を効率化すべき理由
- 決算業務を効率化するためのポイント
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決算業務とは?効率化のために知っておくべき基礎知識
効率的に決算業務を進めるには、決算業務に関する基本知識を理解することが重要です。
はじめに、決算業務の目的やスケジュール、必要な書類、作業内容について解説します。決算業務の目的
決算業務とは特定期間の企業の経営状況や財務状況を把握し、決算書類として取りまとめるプロセスを指します。
企業が年間でどのような事業活動を行ったのか、どれだけの利益を上げたのか、あるいは損失が出たのかを明確にするために欠かせないものです。決算業務のスケジュール
法人の決算業務は、事業年度を自由に設定でき、年度の最終日に財務状況を確定します。
3月末を決算期末に設定する企業が一般的ですが、事業内容や経営方針に応じて柔軟に選べる点が特徴です。日々の経理業務に基づく月次決算は、1カ月間の経営状況を把握し、早期に課題を発見して軌道修正を行うために役立ちます。
四半期決算は3カ月ごとの業績を集計するもので、特に上場企業では株主や投資家への報告資料として重要な役割を果たします。
年度末に行う年次決算は、事業年度全体を総括し、財務諸表を完成させるプロセスです。
月次決算や四半期決算の積み重ねを基に進められ、法人税や消費税などの税務申告書作成にも直結します。
年次決算は企業にとって大きな山場であり、作業が集中する時期です。決算書の種類
決算書は、企業の財務状況や経営成績を明らかにする重要な書類です。
主な決算書には、以下の3種類があります。- 損益計算書:一定期間の収益と費用を比較し、その差額である当期純利益を示す書類。企業の収益性を評価するために使用される。
- 貸借対照表:特定時点における企業の資産や負債、資本を一覧表示した書類。企業の財政状態を評価するために使用される。
- キャッシュフロー計算書:一定期間における現金及び現金同等物の増減を分析する書類。企業の資金繰り状況を評価するために使用される。
勘定科目ごとの作業内容
決算処理ではそれぞれの勘定科目の性質を理解し、正確な処理を行うことが重要です。
以下のような勘定科目の処理に注意しましょう。- 売上高:売上計上基準を明確にし、取引日基準や納品基準など企業の会計方針にしたがって計上する
- 仕入高:仕入計上基準を明確にし、どの段階で計上するかを統一する
- 減価償却費:減価償却方法を適切に選択し、償却資産の耐用年数などを正確に把握する
- 給料:未払給与などを考慮しながら、期末までの給与支払いを正確に計上する
- 租税公課:期末までの税金の支払いを正確に計上する
正確な処理を行うためには、会計基準や税法の知識を習得し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けましょう。
決算業務を効率化すべき理由
迅速で正確な決算業務を実現することは、経営のスピードを上げ、ステークホルダーの信頼を得るためにも欠かせません。
ここからは、決算業務を効率化すべき理由を以下の観点から解説します。- 経営判断
- 情報開示
- 法令遵守
- 経理部門の負担軽減
効率化のメリットを理解し、次のアクションにつなげましょう。
経営判断を迅速化するため
決算業務の効率化は、経営判断の迅速化に直結します。
企業が成長し、競争力を維持するためには、正確な財務データを基にしたタイムリーな意思決定が欠かせません。
しかし、決算業務が非効率で遅延すると、経営陣に必要な情報が届くタイミングが遅れ戦略的な判断が後手に回る可能性が高いです。決算業務を効率化すると、財務諸表の作成が早まり、経営層へ迅速に提供できます。
ステークホルダーへ情報提供を行うため
決算業務の効率化は、株主や取引先など、ステークホルダーへの情報提供にも大きな影響を与えます。
上場企業では、事業年度または連結会計年度に係る決算後の45日ルールに基づき、迅速な開示が求められます。(参考:「決算短信・四半期決算短信作成要領等」)
なお、45日目が休日の場合は翌営業日が期限となり、決算期末後30日以内の開示がより望ましいです。有価証券報告書の提出期限は、金融商品取引法第二十四条に基づき、国内企業は事業年度経過後3カ月以内に有価証券報告書を提出する義務があります。
期限を守れない場合、企業への信頼が損なわれるだけでなく、法的なリスクも伴います。
決算業務の効率化は、企業の透明性や信頼性を高める重要な取り組みです。
法令遵守を確保するため
決算業務の正確性と効率性は、法令遵守を確保するうえで欠かせません。
法人税や消費税の計算ミス、申告書の提出遅延は、税務当局からの指摘やペナルティを招く可能性があります。
特に税務申告や会計監査を受ける際、正確で迅速な対応が必須です。
決算業務を効率化することで、書類の整理や確認作業をスムーズに進められます。
結果的に、書類の記載ミスや漏れを防ぎ、書類の信頼性を向上させることが可能です。経理部門の負担を軽減するため
決算業務は経理部門にとって、負担の大きい業務の一つです。
膨大なデータの処理やミスの防止、短期間での業務完了が求められるため、業務過多に陥ることが少なくありません。
このような状況を改善するためには、決算業務の効率化が不可欠です。
決算業務のプロセスを見直したり、自動化ツールを導入したりすることで、作業の正確性を高められます。また、決算業務を効率化することで、生産性を向上させるだけでなく、働きやすい環境を整えることも可能です。
効率化は業務をスムーズに進めるだけでなく、従業員の満足度向上にもつながります。効率的な決算業務の流れ
決算業務をスムーズに進めるには、効率化を意識した流れを構築することが不可欠です。
効率的な決算業務の流れは、以下を参考にしてください。- 当期の財務残高を確定する
- 税額を算出する
- 財務諸表を作成する
- 株主総会などで決算を承認する
- 法人税や関連申告書を作成・提出する
- 税金を納付する
- 翌期の準備をする
それぞれの業務を解説します。
当期の財務残高を確定する
決算業務の第一歩は、当期の財務残高を確定することです。
決算日におけるすべての勘定科目の帳簿残高と実際の残高が一致しているかを確認します。特に注意が必要なのは、決算整理仕訳です。
通常の業務で発生する取引に加え、買掛金や未払金、棚卸資産、固定資産の処理など期中の帳簿に記録されていない項目を補正するために行います。
これにより、決算書に記載する金額が正確に反映され、税額の計算ミスや納税漏れを防ぐことが可能です。
決算残高の確定が完了したら、勘定科目内訳明細書を作成します。
勘定科目内訳明細書は、法人税申告書に添付する必須書類で、貸借対照表や損益計算書に記載される各勘定項目の詳細を記したものです。
決算整理仕訳の作業量は企業規模や取引数によって異なるため、日程に余裕を持ち、計画的に進めましょう。税額を算出する
決算残高が確定した後は、残高を基に税額を算出する段階に進みます。
消費税や法人税をはじめとする各種税金を正確に計算することが必須です。
税額の計算ミスは、税務署からの指摘やペナルティのリスクを伴うため、慎重に進めなければなりません。税金の計算は以下のように行います。
- 消費税(原則課税の場合): 売上にかかる消費税額 - 仕入れや経費にかかる消費税額
- 法人税: 課税所得(益金 - 損金) × 法人税率
- 地方法人税: 法人税 × 地方法人税率
- 法人住民税: 均等割 + 法人税割(法人税 × 住民税割率)
- 法人事業税: 課税標準額(所得など) × 法人事業税率
- 特別法人事業税: 法人事業税 × 特別税率
各税率や基準額は、地域や企業規模によって異なるため、正確な情報を確認することが重要です。
未払税金として決算書に計上する際、帳簿上の金額と計算結果に差異が生じた場合は調整仕訳を行い、正しい金額を反映させます。財務諸表を作成する
決算業務において財務諸表の作成は、確定した残高を基に企業の財務状況や経営成績を明確に示す重要なプロセスです。
主に作成すべき書類は、以下の5つです。- 貸借対照表(B/S): 資産、負債、純資産を明確に示し、財務の安定性を把握するための書類
- 損益計算書(P/L): 事業年度内の収益や費用、利益をまとめたもの
- キャッシュフロー計算書(C/F): 現金の流れを明示し、資金繰りの状況を把握する書類
- 株主資本等変動計算書: 1年間を通じた株主資本の変動を記録する書類
- 個別注記表: 各財務書類の内容や変更点を注記としてまとめたもの
キャッシュフロー計算書は上場企業のみが作成義務を負っており、非上場企業では省略されることが多いので注意しましょう。
作成した財務諸表は、監査役や取締役会、必要に応じて会計監査人の確認を受ける必要があります。
不備がなければ株主総会で承認を受け、最終的に企業の財務状況を外部へ報告します。
株主総会は決算日から3カ月以内に開催されるため、財務諸表の作成は2カ月以内に完了させることが実務的に求められます。
効率的な作成を実現するには、会計ソフトの活用や、テンプレートを用いた標準化が効果的です。
また、作業の遅延を防ぐために、スケジュールを細かく設定し、チーム内で進捗を共有することが重要です。
正確な財務諸表を迅速に作成することは、次の承認プロセスをスムーズに進めるための鍵といえます。株主総会などで決算を承認する
決算業務が進む中で、株主総会や取締役会での承認が必要です。
作成した財務諸表や業績報告を提示し、経営陣や株主の承認を得る必要があります。
承認手続きは企業のタイプによって異なり、以下のとおりです。- 会計監査人設置会社: 監査役と会計監査人による監査を受けた後、取締役会および株主総会で承認を得る
- 監査役設置会社(会計監査人設置会社を除く): 監査役による監査を受けた後、取締役会および株主総会で承認を得る
- 合同会社: 会社法上、決算承認手続きの明確な規定はないが、必要に応じて税理士などと協議の上で決算を確定させる
承認が得られた決算書は、税務申告や公的機関への報告に使用されます。
上場企業では、株主総会が決算期末から3カ月以内に開催されることが求められるため、すべての決算業務をこの期間内に完了させなければなりません。法人税や関連申告書を作成・提出する
決算が確定し、株主総会での承認を得た後は、法人税や関連申告書を作成して期限内に提出する作業に進みます。
国税庁によると法人税の確定申告書は、事業年度終了の日の翌日から2カ月以内に提出しなければなりません。
3月31日に事業年度が終了する場合、申告書の提出期限は5月31日です。
ただし、申告期限が土日祝日に当たる場合は、その翌営業日が期限です。
期限内の申告・納付を怠ると、加算税や延滞税が課される可能性があります。
税金の種類によって申告先が異なるので注意しましょう。- 法人税・地方法人税・消費税: 所轄の税務署
- 法人事業税・特別法人事業税: 都道府県税事務所
- 法人住民税:法人都道府県民税:都道府県税事務所、法人市町村民税:市町村税事務所
提出期限から逆算して計画を立てて、作業の遅延を防ぎましょう。
税金を納付する
申告書を提出した後は、確定した税金を納付する段階に移ります。
年次決算に伴う税金の納付期限は、法人税や消費税の場合、申告期限と同じく決算期日の翌日から2カ月以内です。
ただし、申告期限の延長を申請している場合でも、納付期限は延長されないので注意しましょう。
納付額は申告書に記載した金額に基づきますが、申告前に概算で納付を行うケースもあります。
見込納付額と確定額に差が生じた場合、差額を追加納付するか、還付手続きを行う必要があります。翌期の準備をする
決算業務の最後のステップは、翌期の準備です。
会計システムや帳簿をリセットし、次期のデータ管理体制を整えます。
今回の決算で発生した課題を洗い出し、次回以降の改善点を記録しておくことも重要です。また、チーム内で振り返りを行い、良かった点や改善が必要な点を共有することで、全体の業務効率が向上します。
決算業務を効率化するための5つのポイント
決算業務を効率化するための具体的な5つのポイントは以下のとおりです。
- 必要データを収集する
- 担当者の役割分担を明確にする
- 業務フローの見直しをする
- 効率化を支えるシステムを導入する
- 業務のアウトソーシングを検討する
それぞれのポイントを紹介します。
必要データを収集する
効率的な決算業務を進めるには、必要なデータを事前に適切に収集し、整理しておくことが欠かせません。
決算書類の作成には、売掛金や買掛金、在庫残高、固定資産などのデータが必要です。
データ探しに時間を取られると、業務全体が滞るだけでなく、担当者の負担やストレスが増加する恐れがあります。
日頃から請求書や取引データを整理し、検索しやすい状態にしておきましょう。
ファイル名や保存場所を統一し、誰でも必要なデータを迅速に取り出せる仕組みを整えるのがおすすめです。
会計ソフトを活用すれば、取引データを自動的に取り込んで集計できます。
クラウドストレージを利用することで、関連部署や取引先とリアルタイムで情報を共有でき、業務効率がさらに向上します。担当者の役割分担を明確にする
決算業務は、複数の担当者が協力して進める必要があるため、役割分担を明確にすることが重要です。
決算資料の作成担当者とチェック担当者を分けることで、業務の効率と正確性が向上します。
役割が属人化すると、担当者が欠勤や休職した場合に業務が滞ります。
業務の引き継ぎが容易になるよう、業務内容や手順を共有化し、マニュアルを整備しておきましょう。
効率化をさらに促進するには、進捗管理ツールを活用して業務状況を可視化するのも効果的です。
タスク管理ツールを使えば、各担当者の進行状況をリアルタイムで把握でき、作業の遅延や重複を防げます。業務フローの見直しをする
決算業務を効率化するには、業務フローを見直し、無駄を排除することが必要です。
決算期に慌てて作業を始めるのではなく、事前に全体の流れを把握し、どの作業にどの程度の時間がかかるのかを明確にしておくことが効率化の鍵といえます。
作業内容や手順を把握していないと何から手を付けるべきか混乱し、時間が無駄になる可能性があるため、あらかじめ優先順位を決めておきましょう。
業務フローを見直す際には、まず現在のプロセスを洗い出してください。
経理作業から決算作業に至るまでの全工程をフローチャートにまとめることで、誰が、いつ、どのように作業を行っているかを可視化できます。
冗長な作業や非効率的な手順を特定し、それを簡略化または自動化する方法を検討しましょう。
また、予備日を含めたスケジュールを作成することも重要です。
決算業務は非常に重要度が高いため、余裕のある計画を立て、トラブルが発生しても対応できる体制を整えることが求められます。効率化を支えるシステムを導入する
決算業務を効率化するには、デジタルツールやシステムの導入が欠かせません。
会計ソフトを導入することで、仕訳の自動化や帳簿の作成が効率化され、人的ミスのリスクを減らせます。
システム導入の効果を引き出すためには、自社の業務フローに合った最適なツールを選びましょう。
経理作業全般を補助するシステムだけでなく、請求書や帳票を一元管理できる帳票システムも検討するのがおすすめです。
システムを導入することで、決算業務全体の効率化を図り、担当者がより重要な業務に集中できる環境を整えられます。
ただし、新しいシステムを急いで導入すると操作方法に習熟する時間が足りず、かえって非効率です。
事前に情報収集を行い、導入後の活用方法を明確にしておくことをおすすめします。業務のアウトソーシングを検討する
決算業務における負担を軽減する方法の一つに、業務の一部をアウトソーシングする選択肢があります。
専門的な知識が必要な作業や時間のかかる業務を外部に委託することで、社内リソースを他の重要業務に集中させることが可能です。
経理代行サービスを活用すれば、日常的な記帳作業から年次決算まで幅広い業務を任せられます。
ただし、アウトソーシングを検討する際には注意が必要です。
決算業務には企業の重要機密が含まれるため、アウトソーシング先のセキュリティ体制を十分に確認することが欠かせません。
情報漏洩のリスクを抑えるため、契約時に明確な管理体制や責任分担を取り決めておくことが大切です。決算業務の負担を軽減して業務の効率化を目指そう
決算業務を効率化するには、事前準備と業務フローの見直しが重要です。
まずは、効率化の第一歩として、決算業務のどこにボトルネックがあるのかを分析しましょう。
そして、繁忙期に入る前にデータ整理や決算書作成を進めることで、経理部門だけでなく企業全体の業務効率を向上します。
決算業務の負担を軽減し、業務の効率化を目指しましょう。
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